VK75.01 K

久しぶりに車両記事的なものを書いてみよう、実は皆に向けて書いているように見えて自分の中での性能の整理の意味合いの方が強い記事なんだ。

VK75.01 K をざっくりまとめると、平地以外に不向きな不器用な車両だ。

車体形状は同国Tier9HTのVK45.02Bと非常に似た形状をしている、後部砲塔配置のため豚飯角が非常にやりやすい。キューポラも左オフセットなのでそこもまぁVKBと同じといえよう。

主砲性能として、砲単発が490と非常に高ダメージで、装填速度は17秒と非常に遅いいわゆる「高単発低レート型」の主砲を装備している、ただTier8戦車で単発490ダメージを持つ車両は駆逐戦車を除きCalibanのみとなるため、これは明確にこの車両の特徴として捉えてよいだろう。まぁ総合的な火力の高さで言えばSkoda T56なんかがぶっちぎりではあるんだが…

装甲に関してはTier8としてみると高水準といえる装甲となっている。車体正面上部は260 ~ 270㎜と同格戦車に関していえば安心してよい厚みを持つ、車体下部は概ね180㎜前後なためここは弱点といえる。車体側面は変な凹凸のない100㎜厚を持つため非常に扱いやすい。

砲塔正面は真正面の最厚部(画像の赤色のところ)で250㎜の厚みを持つが、そこから上に行くにつれて装甲が薄くなっていくという不可思議な厚みを持っている。そのため上に行くにつれて250 -> 230 -> 220と薄くなっていくので注意が必要だ。もちろん実際の戦闘では撃ち上げ角になったりして強制跳弾の確率の方が高くはなるが、同じような車高を持つ相手に対してはちょっと注意を払う必要があるだろう。

弱点といえるキューポラは素の厚みが160㎜あるものの傾斜がほぼない上に他の車輛より根元が広く見えてしまっているため抜かれやすい、非常に抜かれやすい。本当に抜かれやすい。左オフセットなので基本的に車体の左側を隠せる場所で戦うことでこの問題を回避しなければならない。

砲塔天板は素の厚みが40㎜しかないため、120㎜以上の口径を持つ砲は標準化で貫通が見込めてしまう、Tier8以上ともなると重戦車の大半が120㎜以上持っているため、これは留意しておく必要があるだろう。

この手の戦車にありがちなターレットリングの弱点だが、VKKにはないのが実はいい点でもある、正面方向から見ても車体正面上部がしっかりターレットリングを保護しており、側面もしっかりおさまっているため、どこぞのTier10後部砲塔戦車とは違いターレットリングが気になって豚飯なんてできないぜとはならない

防御面に関していえばこんなものだ、砲塔に多少の弱点を抱えるものの、シンプルな装甲配置、装甲厚を持っているためしっかりとした防御姿勢をとればそれ相応の結果を返してくれるだろう。

VKKの問題点

砲性能を最初に上げていたが、あれはあくまで良い点のみを書いたものだ。実は悪い点の方が多い。

主砲性能は劣悪の一言に尽き、低単発だが同じ運用を行うことが多いChrysler K やVKKよりはるかに精度の悪い車輛にすら引けを取るレベルの劣悪さがあるため遠距離での運用はまず無理と思ってよいだろう。

砲拡散が0.28なんでちょっと動くだけでも大変なことになる

俯角が5度しかないところも扱い辛さの一つだろう、後部砲塔で豚飯しやすいとはいえ5度だと様々な地形で戦うことに悪影響が出る、ちょっと乗り上げただけで撃てなくなったり、斜面に少しかかっているだけでいつもの撃ち合いができなくなったりと、兎にも角にも足を引っ張られる。

強力なライバル

さっきもちらっと言ったが、VKKには強力なライバルが存在する。Chrysler K の存在だ。

Chrysler K自体Tier8でも屈指の強さを持つ車両ではあるが、使い方が似ているというのが良くなかった。同じ後部砲塔で豚飯しやすい戦車だが、Chrylserの方がはるかに使いやすい。詳しくはTanksggで比較すればわかる話なんで画像は割愛するが要約すると砲単発/貫通力と履帯性能の一部を除きほぼすべての性能がChrylser K の方が優れている。ということだ

同じ扱いをする戦車で、上位互換がいるということは、あんまり使う意味がないということに他ならない。まぁ一応単発と貫通力がChrylserより優れているため、格上への抵抗力はChrylserよりはあるといえるが、それも劣悪な砲性能によりフルで性能を発揮しづらい。

まぁ…まだバフが来ていないんでそれを期待して来るまではChrylserに乗ってればいいんじゃないかなこれは…

イタリア駆逐ルート

まぁ、散々騒がれてたわけだが実際実装されるとプレイヤーの期待を悪い意味で裏切る実装方法だったわけだ。

イタリア駆逐戦車の特徴としてTier5/6は高隠蔽/高RPM車輛で、基本的な駆逐戦車と同様の運用が可能なルートとなっている。これは公式の記事にも書かれている通りで、いわば知識の差によって大きく扱いやすさが変わってくる従来の隠蔽系駆逐戦車といえる。

公式記事より抜粋:https://worldoftanks.asia/ja/wot-1-18/

問題はTier7以降だ、前々から宣伝されていた通り特殊な装填感覚を持つ自動装填砲を持つ駆逐戦車として実装された、まぁこの砲のことについてはとりあえず置いておこう、問題はその装甲厚だ。

これはTier7のSMV CC-56、車体上面は225㎜のほぼ垂直に近い装甲で、同格重戦車の水準からみても十二分な装甲を持つ。
しかしながら砲塔は垂直部でも260㎜、傾斜部はそれ以上の厚みを持つためTier8駆逐戦車相当の貫通力が必要になる。
これはTier8のSMV CC-67、車体上面はTier7より薄くなり、最厚部(赤色)で260㎜、覚えておくとよいが車体装甲は上に行けば行くほど薄くなっていく、橙色の部分がおおよそ230㎜、黄緑色がおおよそ200㎜程だ、撃つときはとがっているところではなくもっと上を狙おう。
砲塔正面に関してはおおよそ280㎜といったところだ、Tier比で考えるとそこまで硬くはない。まぁそこまでといっても駆逐戦車などから見たらって話だが。ちなみに砲塔が乗っかってる車体の斜め部分は50㎜で、傾斜によってAP/APCR類は跳弾を誘発するが、HEATは貫通力さえ足りていれば(大体200㎜くらい)貫通することができる、覚えておこう。

これはTier9のControcarro 1 Mk.2、車体上面はおおよそ300㎜と同HTの正面装甲を超える厚みを持つ。車体下部は傾斜が強いので元が100㎜でも200㎜相当の厚みを持つ。撃ち下ろし角になると傾斜がさらにかかるため、跳弾の恐れがあるので注意が必要だ。
砲塔は300㎜~330㎜Overで、Tier相応の装甲厚を持つが、元の厚みが290㎜と非常に分厚く、ちょっとでも傾斜がかかると装甲厚の数値が爆増する。具体的に言うと防盾の横から先は350㎜を超えるため、ここを貫徹させるにはTier10駆逐戦車相当の貫通力が必要となる。しかし防盾の下部分の傾斜がかかっていない箇所に関しては、素の厚みと微傾斜なので300㎜~310㎜程の貫通力があれば貫通することができる。なのでこいつもまぁまだ何とかなる。

Tier7~9に関しては同Tier戦車と比較すると高い防御性能を持つが、貫通できる箇所が少なからず存在するため同格の駆逐戦車や格上駆逐戦車/重戦車等であれば問題なく戦うことができるだろう。また、車体天板が傾斜で装甲厚を稼ぐ、もしくは跳弾角でかさ増ししているため3倍ルールの適用される口径の砲や、HEATを使うことによって貫通が狙える場合がある。まぁ何が言いたいかっていうと本当にどうにもならないということは無いといえば無いということだ。

問題はTier10だ。

Tier10 Controcarro 3 Minotauro、名前が長いんで普通にミノタウロとかでいいと思う。Tier10に実装されたランダム戦環境破壊車輛である。

砲塔正面及び車体上面の厚みは均一で300㎜、若干傾斜がかかっているため実厚は最低でも350㎜Overとなる、標準化のかからないHEATでは驚異の380㎜となるため、この時点で貫通できる車輛は395㎜のHEATを持つObject268, Object268 v5といった車両、WoT中最高の貫通力HEATを持つJagdpanzer E100に限られる。APCR族では375㎜の貫通力を持つT110E3, T110E4が唯一の候補となるが、これはあくまで完全真正面から撃った場合に限られるうえに、これでも貫通率が不足しているため貫通率は50%前後である。

まぁ何が言いたいかっていうと、現実的に見てミノタウロを正面から貫通させる可能性を持つのは数ある車輛の中でたった1両「Jagdpanzer E100」のみである、しかもそれでも貫通率100%ではなく75%程度という尋常ならざる防御性能を持つ。

半面攻撃性能は駆逐戦車としてみれば平均的な性能を持つ。

DPM型と比較すると低く、単発型から見るとちょっと高い、貫通力も駆逐戦車としては標準的でAPCR265/HEAT340といたって普通。まぁそれでも重戦車から見れば高水準となるため、前線で戦うのが基本となるミノタウロからすればそんなに困ったものでもないではある。

つまり、ミノタウロを総評すると性能だけで言えば「より頑丈になった、砲塔の回るようになったT110E3」といった感じだ、JagdpanzerE100でなければ戦闘室/車体正面が安定して貫通できないのはT110E3も同じで、弱点の小ささもまぁT110E3と同じといえよう、E3は機銃塔の根本、ミノタウロは後方に設置されたキューポラだ。狙いずらさはどちらも変わらない。攻撃性能はDPMがほぼ同じ、自動装填砲を持つとはいえその実態は単発砲と変わらないためずば抜けた瞬間火力もないのも似ている。

まぁ確かにTierに対して過剰な性能を持つ車輛ルートだとは思う、だが頭に血が上って対応を間違えることこそ本当にまずいことなんだ。こういった極めて防御力の高い車輛への対応は一貫して放置が安定だ。撃破しやすい敵から撃破して孤立させ、貫通できない正面からの攻撃を避け側面を取る。これが基本中の基本だ、Object.279(e)にもT110E3にも同じ対応をするだろう?ミノタウロにもそれをするだけだ。

集団戦のメタを置き換える車輛になり得るのか?

正直言って微妙といえば微妙だ、すべての車輛がミノタウロに置き換えられるわけではない。ミノタウロは高い防御力こそ持つものの、機動性が不足しているためチーフテンに代わりにはなり得ない。Object.279(e)の代わりにはなるかもしれないがそれでも移動を必要としない場合に限られるだろう。前記した通り攻撃力も突出したものではないため、現状チーフテンが蔓延るCWや進撃戦では、数両ピックされる程度に留まるんじゃないかと思う。

ランダム戦であんなに厄介なのに?

ランダム戦で厄介なのは単に防御性能が高いから厄介なのではない。防御性能だけで言えば既存のT110E3やBadger、Object.279(e)ぐらいの性能でも必要十分でありそれ以上の装甲はそもそも必要とされていなかった、あったとしても過剰だったのだ。

問題はこの車輛に対して「自動装填砲を持つというプレイヤーの認識」が過剰になっているというところだ。イタリア駆逐戦車ルートはTier7以降すべて自動装填砲を持つが、実態は単発砲だ。クリップの再装填は通常の自動装填砲と同じく20秒前後の装填時間がかかるのはその通りだが、次弾装填までの時間が他の自動装填砲と違い5秒~8秒とDPM型重戦車と同じくらいの時間がかかる。つまり、従来の自動装填砲と異なり瞬発火力がないのだ。

プレイヤーが持つ「自動装填砲は瞬発火力が高い」という認識がイタリア駆逐戦車に対する襲いかかり辛い認識を生み出している。故にイタリア駆逐戦車は相手が襲い掛かってこない間に次クリップをさっさと装填してしまい、防御力を十全に生かした戦いをしやすい環境が出来上がってしまうのだ。

じゃあどうすればいいの?

まぁ前記した通り、とりあえず放置が一番良い。まずは撃破できる周りの車両から撃破し、どうしても相手しなくてはならない場合は別ルートの選択も考慮に入れよう。相手が孤立しているのであれば、味方と協力してさっさと襲い掛かるのが賢明な判断だ、それが出来ないのであれば、Tier8やTier7に乗ることでミノタウロに当たる確率自体を下げるという手もある。

とにかく、現状イタリア駆逐戦車ルートはあからさまに過剰性能を持つルートであるのは間違いない、過去に実装された環境を変えてしまうほど強力な車輛たちと同様に、次のバージョンを待たずに弱体化がされる可能性は大いにある。Object268v4や過剰性能に調整されたMausと同じようね。今は耐える時期だ。頑張ろう。