悪夢の終わり?

ついに来た、チーフテン及びObject.279(e)のナーフ情報が公式より発表された。

https://worldoftanks.asia/ja/news/general-news/supertest-vehicle-rebalances-august-2023/

私の考えから言うと今回の車両の調整に関しては断然賛成派だ。この調整は今までの車両性能調整とは全く意味が異なる。これは長かったチーフアーリー1強時代の終焉を告げるものであり、本来あった集団戦の姿が戻ってくる可能性の呼び鈴となるだろう。

公式の調整についての説明を引用する。

「T95/FV4201 Chieftain」と「Object 279 early」については、「強すぎる」という意見が多く、その数は時とともに増え続けるばかりとなっている。実際に統計データもこうした印象をはっきりと裏付けており、場合によってはいるだけで勝敗を決めてしまいかねず、そのパフォーマンスの高さは、「入手が難しく乗り手に猛者が多いから」という指摘だけでは説明がつかない。この問題は最近になって初めて明らかになったわけではなく、むしろ今までこの2輌に触れてこなかったのは、「手に入れたプレイヤーたちの時間と労力」をないがしろにせずに調整する方法を模索していたという側面が強い。しかし、理由はどうであれ実際に調整に入るのが遅すぎたのは否定できず、早急の対応が求められている。
以上で簡単に触れた事情を考慮すれば、目指すべきは「Tier X重戦車の中でも屈指と言える、入手難易度の高さに見合った性能」を満たしつつ、「いるかいないかで戦闘の公平さに影響が生じる性能」まではいかない範囲だろう。現時点では、「T95/FV4201 Chieftain」は機動性と火力を、「Object 279 early」は最大速度と分間火力に加えて車輌HPをある程度低下させることが予定されている。砲塔の硬さと俯角の広さを活かした柔軟な立ち回りや、防御性能の高さを活かした戦線の押し上げといった、両車輌の代名詞とも言える戦い方が変わることはないはずだ。
そのため、今まさに入手を目指してプレイに励んでいる戦車兵たちは、どうか気を落とすことなく、引き続き腕に磨きをかけていただきたい。

性能を調整しつつも、両車輛の代名詞ともいえる戦い方が変わることはないはずだ。」まさにこの一言に尽きる調整だろう。まぁ車両性能に関してはさんざん騒がれ来てるんだから個人個人が冷静に分析してしかるべきだろうからここでは細かく書かない。この記事の最後に書いておくから分からない人はそっちを見てくれ。

正直ナーフの内容についてはやり過ぎやらな過ぎはさておきとして、今回のナーフは皆にとって大変喜ばしいものではないか?何せあんなに目の上のたんこぶだったチーフテンがナーフされるのだ、これからはチーフテンを持っていなくても集団戦に参加することができるし褒章車輛を手に入れに行くこともできる。これまでランダム戦層が口をそろえて言っていた「集団戦やりたいけどチーフテンと279(e)持ってないからお断りなんでしょ?」が解消されるかもしれないのだ。

何をそんなに嘆く必要があるのだか…

だが憂慮すべき点もある、つい先日発売された「Kampfpanzer 07 P(E)」の存在だ。Kpz07はチーフテンに近しい車両性能を持つプレミアム車両で、販売形態的に言うのならば多額のゴールドを支払って必要資材の大半を補う課金戦車に近いものだ。チーフテンがナーフされるにあたって、本車両の性能は相対的に向上したとみてよい。車体/砲塔の防御力や俯角がチーフテンに劣っているとはいえ、機動性/火力という面ではチーフテンに並ぶほどの性能を持っているため、今後の集団戦メタについてはチーフテン⇒Kpz07に首のすげ替えが行われただけに過ぎない可能性がまだある。

ただ、「今回の首のすげ替え」だけならまだよいが「今後の首のすげ替え方」がアセンブリーショップによる新車両の発売によるものだとさすがに困り者だ。

何が言いたいか分からないって?あくまで可能性だ、可能性の話だが…今後Tier10の強車輛と呼ばれる車輛は、実力でCW報酬として獲得するのではなく、毎回約3万円支払って獲得することになるかもしれない。ということだ、あくまで可能性の話ではある。CW報酬の代表格であったチーフテンがナーフされたということは同列に存在する各報酬車両もその憂き目にあう可能性は否定できない、であれば現状すぐにナーフされない車両としては「多額の金銭が動いているであろう」アセンブリーショップの車両が候補に挙がってくる。Kpz07は先にも書いた通り現状のチーフテンに似通った性能を持つ。アセンブリーショップでこれほどの性能の車両が出るということは、今後ももしかしたら同様の車両が出る可能性もある。そうなってくるとPay to Winの傾向が強くなってくるが…まぁもともとPay to Winの傾向が強いゲームだったから今更といえば今更か…

さて、Twitterなんか見てると否定的な意見も多々見ることができる、なかなかにいいと思う感想もあればおやおやと思う感想も多い。と書いたがほとんどはおやおやと思う感想だ。

【感想①】
Object.279(e)とチーフテンは獲得する価値のある車両だったが、弱体化されるならば取得するというモチベーションは維持できない。

まぁこれについては分からんでもない、ここ数年の集団戦というのはチーフテンを中心に回ってきた、CWEが発生するたび「チーフテンが報酬にあるのか?」という疑問がユーザー達から上がっていたほどだからな。
しかしながらこの意見についてはいまだ賛否を決めることはできない、World of Tanksにおいての性能調整は「数値上」の性能調整だけで優劣を判断できたことは稀だった。60TPなんかはいい例だろう。実装当時は単発750という威力に目がくらんだがHEATの貫通力が317㎜と分かるとユーザーは一様に決めつけた。しかし蓋を開ければ317HEATは大した問題にならずその決めつけは一蹴されてしまった。なのでこういった意見については決めつけるのは時期尚早といえるだろう、もう少しまとう。

【感想②】
Object.279(e)のプレミア砲弾貫通力弱体化は実力差による格差を生むことになる。

????よくわからん、どういうことだ?勝負事なんだから上手いほうが勝って当然じゃないのか?というかそういう環境が正しいのではないのか?もしかしてやっているゲームが違うのか?
残念ながらこの意見には全く賛同できない、理解もできない。

【感想③】
VZ, V4ナーフいる?

まぁそう思わんでもない。ただまぁ性能の調整が必要だったかといわれればまぁ必要あった気もしなくはない、特にV4はあからさまな初心者殺しの車両で有名で、V4/V4/IS-7の小隊がランダム戦で猛威を振るうことも多い、だからこそWGはこの車両をナーフしてユーザーの反応を見ようとしているのだろうか。車両の特性が強力すぎてナーフされてしまったという良くない前例にならないことを祈ろう。

【感想④】
もっとバフすべき車輛あるだろ、7号戦車,Type5Heavyみたいな弱戦車がよ

言わんとしていることは分かるが、こればっかりは話が違う、これはプレイヤーの我儘だ。今回の車両バランス調整にかこつけて自分の意見を何とかねじ込ませたいとか不満を募らせているだけで、考慮する意味もない。

【T95/FV4201 Cheiftain】

これまでできるだけチーフテンについていろいろ考えるのは避けてきたが、ちょっと詳しく書いていこうか。Ver1.4.0にて実装されたCWE報酬車両、実装/配布されて以降「最強の名」を独占して離さなかったWoT至上最高峰の均整のとれた車両性能を持ち、集団戦民、ランダム戦民の羨望の的となった車輛だ。

火力という意味ではもっととがった車輛は多いが、それでも高い部類には入るDPMを持つ。加えてT110E5に準じた砲性能を持っており、総合的な砲性能で言えばDPMが高いとはいえ劣悪な砲性能を持つ5Aと比べれば実用的といえるだろう。

機動性も高い、最高速度こそ46㎞一見平凡に見えるが出力重量比が16.67と優秀でこれはWZ-111 5Aよりも優れている。T110E5と比較しても出力重量比こそ少し劣っているが最高速度は9㎞も上であり、T110E5やS.Conquerorを運用する上で足かせとなっていた「微妙に足りない脚」を克服しているといっていいだろう。

装甲については諸兄も知っての通りだろうが砲塔は非常に堅牢で、うっすい200㎜のキューポラ以外に主砲基部の下に実厚340㎜の箇所が存在するだけで主だった弱点はない。砲塔右側が実厚370㎜前後と左側の500㎜Overと比べれば比較的薄いと言えなくもないが、ここを貫通できるのは一部の駆逐戦車のみなので正直除外してよい弱点といえるだろう。車体は220㎜~270㎜前後と平凡どころかTier10重戦車で見れば弱い部類に入る。これは唯一の救いといえるかもしれないがまぁ詳しくは後で書こう。

このように火力/機動力では他の重戦車と比較しても高水準を持ちながら、装甲に関しては車体以外に明確な弱点はないこの車両何が問題なのかといわれるとWorld of Tanksの車両は基本的に「帯に短し、襷に長し」という言葉のような車両が多いが、この車両は言うなれば唯一の例外といえる「帯に良し、襷に良し」な車両なのだ。

T110E5とS.Conqは優秀な火力と比較的良好な防御力を持つが「機動性」に少し難がある。Object.277は機動性が高いが「防御力と火力」に少し難がある。IS-7は機動性と防御力に優れるが「火力」に難がある。MausとE100は大変優れた防御性能とそこそこ優秀な火力を持つが「機動性」に難がある。このように今通常ツリーで実装されており、集団戦でもいまだにちょくちょく使われている車両の大半が「何かしらの欠点を持つ」がチーフテンは?前記した通り防御上の明確な欠点はあまり問題にならない車体防御力以外全くないといってよく、他の性能は全て高水準である。故に、集団戦ではありとあらゆる場面で有効な車両であり、チーフテンを別な車両で置き換えようにもチーフテンのような車両は「通常ツリーには存在しない」状態だったのだ。

と、もろもろ書いたがこれはあくまでも「集団戦」での評価だ。ランダム戦とは思考が異なるゲームモードであり、車輛に求められる性能も異なるランダム戦ではチーフテンの評価はまた一つ違う。

ランダム戦におけるチーフテンは決してOPというわけではない。局所的な戦闘においては集団戦と同様強力な力を発揮するがそれはあくまでの車輛特性をもっての強力な力であり汎用性をもってしての強力な力ではない

ゆえに、この車両性能の調整は適切であると考える。

集団戦においては高水準でまとめられた性能が文字通り「帯に良し、襷に良し」の性能を表していた、最大速度とDPMを落とすことにより「帯に短し、襷に長し」の状態に近づいたといえる。しかしながら車両の持つ個性の一つである「砲塔の堅牢さ」は損なわれていないため「車輛特性」としての「堅牢なハルダウン性能」は維持されている。まぁ、正直これ以外に車輛性能での調整は難しいところだったろう、砲塔装甲を下手に削れば汎用性は残るものの重戦車ではなく中戦車に近い性能になり「重戦車」としてのアイデンティティがなくなってしまう。